最終更新日:2025/10/15
GodoxのXシステムに対応したトリガー(コマンダー、コントローラー)、以前はXproがX2Tの2択くらいだったが、2023年にXproの2型、2024年にX3、2025年9月にX3Proが登場し、いずれも併売されているよくわからない状況となっている。
いったいどれを買えば正解なのか…?
実際に使ってみると、それぞれ一長一短あったので備忘録としてまとめてみた。
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Godox X3Pro
スペックから考える
現在販売されている主なトリガーの仕様を一覧でならべてみた。
製品名を見ると、それぞれの型にあわせた進化版モデルが発売されているように見え、実際、X1→X2、Xpro→XproIIは正当進化系だと思う。ただ、X3だけはX2からの突然変異体といってもいいだろう。
X3ProはX3の進化系かな?
ただ、基本性能としては共通する項目が多い。比較参考としてトリガーとして使えるGodoxのストロボも載せてみた。

(※仕様はNikonのものを記載。メーカー記号はそれぞれCanon、Nikon、Sony、Fujifilm、Olympus(Panasonic)、Pentax、Leicaの頭文字となっている。)
グループ
XproIIやX3Pro/X3が16グループと多いが、同社から発売されている現行品ストロボの多くはA~Eの5グループしか設定できない。
基本的にA/B/C/D/Eの5グループ使えればOKかなと。
※V1ProやV1はトリガーとして使う場合、4グループとあるがMは取り付けているストロボ自体のため実際はA/B/Cの3グループしか制御できない点に注意が必要。V100は一つ増えてA~Dの4グループが制御できる。
対応メーカー
Pentaxユーザー、Leicaユーザーは使えるトリガーが限られてしまうが、Canon、Nikon、Sony、Fujifilm、Olympus(Panasonic)はだいたいどの製品も対応している。
チャンネル、ワイヤレスID
設定可能なチャンネル数は01~32CH、IDも01~99と共通。
ここにない旧型のトリガーはワイヤレスID設定ができないので、使うのはやめてほしい。
※『X1T』はFirmwareが古い場合はID設定に対応していないのでFW更新が必要。
重量
X3がバッテリー込み48gと抜群の小型軽量。単三電池が1本約25gなので、電池2本分とほぼ同じ重量。実際に使ってみると、もうほかを使いたくなくなるほど軽量だ。
V1 / V1Pro / V100は「トリガー機能もついているよ!」というタイプなので、トリガーとして常用するにはデカすぎ&重すぎなので専用品を買った方が◎。
ただし、V100はちょっと例外で、X3がセットになったような製品となり総じて使い勝手は非常に良くなっている。この中では一番重い組み合わせとなってしまうが…。
空きチャンネルのスキャン
チャンネルは一度設定してしまうと、変更したくないが正直なところ。ただ、場所によっては2.4GHz帯の混雑がひどく、うまく反応・発光しないといったケースが生じることもある。そんなとき、これがあると変更後のチャンネルで同様の事象が生じる可能性を大幅に減らすことができる。(※2.4GHz帯の混雑が原因だった場合)
ただ、これまでに実際現場で使って変更したのは1回しかない。
バッテリー
『X3』のバッテリー持ちは非常に良く、丸1日つかって充電器にさしても半分も使っていなかった。そして充電時間も非常に高速だ。
ただ、充電を忘れがちなうっかりさんや、バッテリーは使い切るまで充電しない教の方には、何かあってもコンビニで買える乾電池タイプが安心。
スマホ用にモバイルバッテリーを持ち歩ている人は、TypeCで直接充電ができる『X3/X3Pro』や『V100/V1Pro』もポイントが高い。
HSS/後幕シンクロ
ここで挙げたトリガーは、ハイスピードシンクロ、後幕シンクロともに対応している。使用感については大きく操作がことなるが、それはまた後ほど。
パススルーのホットシュー
他メーカーのトリガーも同時に重ね付けして使用する人は、パススルーのホットシューがついている「X2T」一択。
従来のストロボを「X1R」につけて使う時など、ID設定が無い受信機と組み合わせて使う時はトリガーをサンドイッチにして…と書こうとしたが、X1Rは説明書に書かれていないだけで2018年頃のファームウェア更新でID設定対応になっていたことを今更ながら知った。(CH+GRボタン同時押しで電源ON)
Bluetooth接続でスマホから操作
カメラを遠隔でシャッター操作する際、ストロボのトリガーも遠隔で操作できるようになるので、そういったシーンで利用することがある人には便利な機能だと思う。
私の場合は、XproIIに搭載されたときに自宅内のテストで一度使ったきりだ。操作慣れしているトリガーを直接操作したほうがスムーズだった。
XproII/X3ProはGodox Flashアプリ、X2TはGodoxPhotoアプリと使用するアプリが分かれている。
仕様表ベースでみていくと、ざっとこんなところだろう。
価格から考える
仕様がどれも横並びだと、次は価格。
ちなみに、これを書いていた2025年9月中旬ごろの価格は、ざっとこんな感じだ。

日本国内での量販店・ECサイト販売価格は、代理店を通しての購入となるため多少割高になってしまう。AliExpressは通常時でも日本国内より多少安いが、セール開催時にはクーポンや各種割引を組み合わせて更に安く購入できたりもする。
ちなみに国内でしか買ったことがない人には、海外通販・アリエクの洗礼はなかなかに強烈なものかもしれない。下に記した項目に1つでも受け入れられないことがあれば、海外購入は向いていないのでおとなしく国内正規での購入がおすすめだ。
アリエクでの購入が向いてる人
- 注文してから届くまで2週間くらい待てる。
- 届いた箱がボッコボコに潰れてても、中身に問題なければOK。
- 自然故障やその他トラブルも、サポートに問い合わせずに買いかえる。自己解決できる。
- 可能な限り安く買いたい。
※荷物が届かない、初期不良、詐欺…といった場合はAliExpressが対応してくれます。過去のトラブル事例はこちら。
アリエクでの購入はやめたほうがいい人
- すぐに欲しい。すぐ使いたい。
- 届いた箱がボッコボコに潰れてたら怒り狂う。返品する。
- 困ったときにや何かあった際は代理店に問い合わせたり、サポート・保証をうけたい。
アリエクは程度割り切った考えを持てる人向けとなるが、とにかく安い。
頻繁に開催されているセールのクーポンコード、店舗フォローで貰えるクーポン、同社アプリ内に搭載されているゲーム等で貯めたコインも割引に使える。物によっては国内販売価格の半値くらいで購入することもできる。
感覚値だが、15000円くらいまでの製品なら2000円引き、35000円くらいのものなら5000円引きくらいで購入できるイメージだ。
Godox製品はメ●カリなどのフリマでも出ているが意外と高い値段のものが多い。その金額出すならアリエクで新品買えるな…というケースもよく見受けられる。新品未使用品も多く出回っているが、だいたいこんな感じで購入したものを転売しているのだろう‥と勝手に思っている。
ちなみに、Godoxのトリガーを中古で買うならフジヤカメラ用品館の店頭がおすすめだ。常に店頭にあるわけではないが、出ているときはかなり安い価格で売られているのを何度か目撃している。
実際の操作性・利便性から考える
メーカー仕様表で「対応」とかかれていても、機種によってはワンボタンでいけるものもあれば、数ステップの手順が必要なものもある。ここからは実際に現場で使用した操作感を含めてお伝えしていく。

HSS(ハイスピードシンクロ)の切替
XproII / Xpro:1ボタンでHSS切替。
X2T:要メニュー操作(MENU→SET→ダイヤル回してHSS→MENUの4操作)
X3:要メニュー操作(上から下にスワイプ→Setting→SYNC→HSS→右スワイプ→右スワイプの6操作)
X3Pro:要メニュー操作(上から下にスワイプ→SYNCをタップ→下から上にスワイプの3操作)
元に戻す際も同様の操作が必要となる。頻繁にHSS切替ON/OFFを行う場合、X2TやX3を選ぶとかなりしんどい!
X3ProはX3から大きく改善し、スワイプで表示される画面からSYNCをタップするだけの簡単操作となった。これなら十分使えるレベルだ。

※1 ストロボにトリガー機能がついているGodox V100・V1Pro・V1はHSSのON/OFFは自動で行われる。
※2 X1Tは所持していない為、不明。
デリングランプのON/OFF
モデリングランプのON/OFFも、操作がかなりかわってくる。
〈XproII / Xpro〉
全体ON/OFFは物理ボタン1つなので、慣れればトリガーを見ずに操作することもできる。
個別のON/OFFはAを選択後にボタンを何度か押したり、光量調節は長押しが必要だったりとあまり直感的ではない。
ただ個別調整後、全体ON/OFFが個別の設定時のものを引き継いでしまっているのか、つかないこともあり、今どういう状態化を確認するのは少々時間を要する。(ちょっとクセがあるので慣れが必要)
〈X2T〉
結構長めにMENUボタンを長押しする必要がある。Aだけ光らせるといった個別ON/OFFはできない模様。
〈X3/X3Pro〉
ON/OFFする際は上から下にスワイプし、ランプボタンをタップするだけで全体ON/OFFができる。
個別ON/OFFも個別画面から上下スワイプでA→Bと行き来できるのでやりやすい。X3は画面が小さくて辛かったがX3Proはより直感的でわかりやすくなった。
モデリングランプの操作については現状X3Proが最も優秀だと感じている。
ファーストビュー(ティスプレイ)


普段から3グループ以内しか使わない場合は気にする必要はないが、多灯で複数のストロボを配置してA~Eをフルで使う方は、1画面で表示できる情報量の多いXpro系が圧倒的に使いやすかった。
『X3/X2T』は1画面内(ファーストビュー内)に3グループしか表示できず、4グループ目以降の設定を見たり変更する際は画面をスクロールさせたりボタン操作が必要となるので面倒に感じてしまう。
※X3は3グループといったが、直下に別の項目があり、3グループ表示すると、ふとした拍子に画面が動いてしまい表示が見切れてしまう。実際に安定して1画面固定で使うなら2グループまでだろうと思う。
光量の変更(マニュアル)
マニュアルで光量を調整しているひとは、いちばん大事なポイントかも知れない。
もともとXproをメインで使っていて、くるくる回すダイヤルはとても気に入っていた。2型がでてすぐに飛びついたが、ダイヤルの反応は1型と比べて悪く、同じ量を回しても目的の数値になかなかたどりつかない印象をもっている。
ダイヤルの回し心地が一番優秀なのはX2だと思う。
X3/X3Proはタッチパネルになり、最もスピーディーに変更できるようになった。ただその反面、目的のところでなかなか止まってくれず、1/4 +0.7とかになってしまう。
X3Proは画面が大きくなったことでX3より多少調整がしやすくなった気がする。
バッテリー残量表示
X3は3段階の電池マークだけだったが、X3Proではシリーズとして初めて?数字による残量表示ができるようになった。
これも内蔵バッテリーに切り替わったことの恩恵だろう。
X2TやXpro/XproIIは電池マークは表示されているが、残量っぽいものの表示が本当によくわからない謎マーク。少なくなると点滅するので、そこが目安?とおもっているが、正直よくわからない。
脱着
付け外しも、大事な要素。ダイヤル式のXproは、きちんとねじ込んだつもりでも、いつのまにか緩んで抜け気味になっていて発光しなくなったり、そのまま抜けて地面に落下してしまったこともあった。
これから買うなら「外れない機構」がついているクイックレバー式やボタンのものをおすすめしたい。個人的にはX3/X3Proのボタンタイプが気に入ってる。
まとめ
基本的には利用用途に合わせてください!という話なのだが、最後にもう一つの着眼点として、Godoxが製品をいつまでサポートしてくれるのか?という点も挙げられる。
この表は2025/10/4時点でのGodoxサポートページで最後にファームウェアが更新された日をまとめたものだ。公式にはいつまでサポートすると書かれたものは見つからなかったが2023年より古いものをグレーにしている。

長期間ファームウェアの更新が止まっているということは、もう更新する気は無いのかもしれない。X2Tのニコンモデルだけが唯一2024年に更新されているが、これはフラッグシップモデルであるZ9やZ6IIIでトリガーが正常に機能しないというクリティカルな問題に対応したものになっている。
よくわからないがX2TはZ01とZ02というバージョンがあるらしい。。。
古いものでもよほどのことがあれば対応してくれるケースもあるかもしれないが、、、サポート的な観点でみるなら、新しいもののほうが良いかもしれない。
ここまでをざっとまとめるとこんな感じだろうか。
▼1~3灯くらいで、1~3グループしか設定しない方向け
- タッチパネル操作が好き。
- HSS切替はあまりしない。
- パススルーのホットシュー不要
- USB-Cで充電したい
- 軽さが正義
- モデリングランプの個別制御もする
- パススルーのホットシューが必要。
- タッチパネルが嫌。
- HSS切替はあまりしない。
- 電池タイプが安心。
- モデリングランプの個別制御はしない。
▼多くのストロボを所持し、5グループを1画面でみたい人向け
- HSSの切替が頻繁。
- ボタンが大きいほうがすき。
- 電池タイプがいい。
- モデリングランプの個別制御は基本的にしない
- HSSの切替が頻繁。
- ダイヤル回転式の脱着に強いこだわりがある。
- 電池タイプがいい。
- 新しい機材は使わない。
- モデリングランプの個別制御は基本的にしない
▼多くのストロボを所持し、5グループ以上を使用することがある人向け
- HSSの切替が頻繁。
- 5グループ以上使う時スムーズに画面操作したい。
- X3が小さすぎて辛い。
- USB-Cで充電したい
- モデリングランプの個別制御もする
…ちなみに私は使い分け派。
スタジオ等で3グループ以上使うときはXproII、
屋外などで2灯くらいしか使わないときはX3を使っている。
どれか1つ調子が悪くなってもすぐ交換できるようXproII、Xpro、X3は常にカバンに入れている。
X3Proは届いたばかりなのでまだ使用はしていないが、かなり優秀なので、この先メインで使うことが多くなりそうな気がしている。

ちなみに私がこれまで購入してきたコマンダーの数は…
X3Pro…1個
X3…2個
XproII…2個
Xpro…3個
X2T…1個
合計9個だった。
ちなみにXproは3台中2台は不調のためお蔵入りとなっている。雨や水に濡れたりとハードな使い方なをするとすぐに壊れるイメージがあるので、使用するときは水に気をつけたほうが良い。。。
★メーカー別Godoxトリガーの販売店・詳細はこちら
(Amazonのページにリンクさせています。)

Godox X3Pro
余談:Godox製品のファームウェア更新
Godoxのファームウェアダウンロードページは、ちょっとイマイチな作り。
https://www.godox.com/firmware-control-system/

例えば、X3と検索すると、このように表示されてしまい、いつ更新されたか、といった情報画面が消えてしまう。
「X3-N Firmware Initial Language Updating」
「X3-N Firmware」
2種類アップされている状態で、Initial Language Updatingの中身は1.07、ついていない方の後者は1.15で新しいものとなっていた。
※メーカーによっても細かく変えているのか数値が異なっているようで、Canonの最新版は1.26となっていた。

手持ちのファームウェアが更新されたかどうかの情報も、自分で探しに行かない限り、知る術がない…。
2024/11/14時点、X3-Nは1.15までバージョンがあがっていた。
ちなみにInitial Language…の1.07は履歴にも書かれてない。さらに購入時に元々入ってた1.06も情報が無かった。
正直良くわからないが、細かいバグ修正がされているので時々チェックするのがおすすめ。

更新ソフトのインストール
ファームウェアの更新にはMacもしくはWindowsに専用の更新ソフトをインストールする必要がある。
https://www.godox.com/firmware-launcher-installers/
使っている機材によってG1、G2、G3と分かれているようだが、以前G2で更新だったものも最新ではG3での更新に変わっていたりするので、最新ファームウェアに同梱されているPDFの説明書をよくチェックする必要がある。
2024/08/10現在、X3系はG3アプリでの更新。
MacOS/Windowsでわかれているのでお使いのPCのOSにあわせてダウンロードを。
更新の手順(X3-N v1.15の場合)
- GodoxG3_v1.1.exeを開いてSelectFileからX3_N_v1.15_APP.binを選択。
- X3をPCに接続して、X3本体の画面からSetting→DeviceInfoから「Update」ボタンをタップ。
- PCの画面上、接続が確認されたら、GodoxG3_v1.1からUpdateを押す。
- Update device successと表示されたらExitボタンを押して完了。X3のケーブルを外して、ファームウェア更新が完了したことを確認。
※ファームウェア更新後はID/CHがリセットされていないか確認がおすすめ。




余談2:V100がコマンダーとして超優秀だった
2025/8/29追記
このページを作成した当時にはまだ発売されていなかったGodoxのストロボ「V100」。
最近、趣味の撮影でも仕事の撮影でも、V100をコマンダーとしてつかう機会が増えているので、参考までにこちらでも紹介しておく。
V100をコマンダーとして使う利点
◎V100はV3と同様にタッチパネルで制御ができる。
V3は小さすぎてたちパネルをスライドさせたとき一気に数値が変わってしまうが、V100はパネルが大きいのでV3より操作性が良いと感じている。
◎AD300Pro 1~2灯と少なめ機材で持ち込んだとき、正面からもちょっと光足したいなーというときは発光もできる。
◎HSSの切り替えも、ストロボとして自動で切り替えてくれる。(V3はメニューに入って切り替え操作が必要)
なんて優秀なやつなんだ!
ちなみにV100についてはこちらのメモ記事にもまとめているので、気になる方はぜひ。




