最終更新日:2024/11/14

GodoxのXシステムに対応したトリガー、以前はXproがX2Tの2択くらいだったが、Xproの2型やX3が相次いで登場し、いずれも併売されている状況。

実際に使ってみると、最新のX3が一番優れている!というわけでもなく、それぞれ一長一短。


スペックから考える


現在販売されている主なトリガーの仕様を一覧でならべてみた。

製品名を見ると、それぞれの型にあわせた進化版モデルが発売されているように見え、実際、X1→X2、Xpro→XproIIは正当進化系だと思う。ただ、X3だけはX2からの突然変異体。

ただ、基本性能としては共通する項目が多い。比較参考としてトリガーとして使えるGodoxのストロボも載せてみた。

(※仕様はNikonのものを記載。メーカー記号はそれぞれCanon、Nikon、Sony、Fujifilm、Olympus(Panasonic)、Pentax、Leicaの頭文字となっている。)

グループ

XproIIX316グループと多いが、同社から発売されている現行品ストロボの多くはA~Eの5グループしか設定できないので、基本的にA/B/C/D/Eの5グループ使えればOKかなと。

※V1ProやV1はトリガーとして使う場合、4グループとあるがMは取り付けているストロボ自体のため実際はA/B/Cの3グループしか制御できない点に注意が必要。

対応メーカー

Pentaxユーザー、Leicaユーザーは使えるトリガーが限られてしまうが、Canon、Nikon、Sony、Fujifilm、Olympus(Panasonic)はだいたいどの製品も対応している。

チャンネル、ワイヤレスID

ここで挙げたものは設定可能なチャンネル数は01~32CH、IDも01~99と共通している。さらに古いトリガーもあるが、ワイヤレスID設定ができないものを使うのは正直やめたほうがいい、というかやめてほしい。

※『X1T』はFirmwareが古い場合はID設定に対応していないのでFW更新が必要。

重量

X3がバッテリー込み48gと抜群の小型軽量。単三電池が1本約25gなので、電池2本分とほぼ同じ重量。実際に使ってみると、もうほかを使いたくなくなるほど軽量だった。

なお、V1/V1Proは「トリガー機能もついているよ!」というタイプなので、トリガーとして常用するにはデカすぎ&重すぎなので専用品を買った方が◎。

空きチャンネルのスキャン

チャンネルは一度設定してしまうと、変更したくないが正直なところ。ただ、場所によっては2.4GHz帯の混雑がひどく、うまく反応・発光しないといったケースが生じることもある。そんなとき、これがあると変更後のチャンネルで同様の事象が生じる可能性を大幅に減らすことができる。(※2.4GHz帯の混雑が原因だった場合)

ただ、これまでに実際現場で使って変更したのは1回しかない。

バッテリー

『X3』のバッテリー持ちは非常に良く、丸1日つかって充電器にさしても半分も使っていなかった。そして充電時間も非常に高速だ。

ただ、充電を忘れがちなうっかりさんや、バッテリーは使い切るまで充電しない教の方には、何かあってもコンビニで買える乾電池タイプが安心だ。

スマホ用にモバイルバッテリーを持ち歩ている人は、TypeCで直接充電ができる『X3/V1Pro』もポイントが高い。

HSS/後幕シンクロ

ここで挙げたトリガーは、ハイスピードシンクロ、後幕シンクロともに対応している。使用感については大きく操作がことなるが、それはまた後ほど。

パススルーのホットシュー

他メーカーのトリガーも同時に使用するケースがある人は、パススルーのホットシューがついている「X2T」一択。

従来のストロボを「X1R」につけて使う時など、ID設定が無い受信機と組み合わせて使う時はトリガーをサンドイッチにして…と書こうとしたが、X1Rは説明書に書かれていないだけで2018年頃のファームウェア更新でID設定対応になっていたことを今更ながら知った。(CH+GRボタン同時押しで電源ON)

Bluetooth接続でスマホから操作

カメラを遠隔でシャッター操作する際、ストロボのトリガーも遠隔で操作できるようになるので、そういったシーンで利用することがある人には便利な機能だと思う。

私の場合は、XproIIに搭載されたときに自宅内のテストで一度使ったきりだ。操作慣れしているトリガーを直接操作したほうがスムーズだった。

※XproIIはGodox Flashアプリ、X2TはGodoxPhotoアプリと使用するアプリが分かれている。

仕様表ベースでみていくと、ざっとこんなところだろう。


価格から考える


仕様がどれも横並びだと、次は価格。
ちなみに、これを書いていた2024年6月中旬ごろの価格は、ざっとこんな感じ。

日本国内での量販店・ECサイト販売価格は、代理店を通しての購入となるため多少割高になってしまう。AliExpressは通常時でも日本国内より多少安いが、セール開催時にはクーポンや各種割引を組み合わせて更に安く購入できたりもする。

ちなみに国内でしか買ったことがない人には、海外通販・アリエクの洗礼はなかなかに強烈なものかもしれない。下に記した項目に1つでも受け入れられないことがあれば、海外購入は向いていないのでおとなしく国内正規での購入がおすすめだ。

アリエクでの購入
  • 注文してから届くまで2週間くらい待てる。
  • 届いた箱がボッコボコに潰れてても、中身に問題なければOK。
  • 自然故障やその他トラブルも、サポートに問い合わせずに買いかえる。自己解決できる。
  • 可能な限り安く買いたい。

※荷物が届かない、初期不良、詐欺…といった場合はAliExpressが対応してくれます。

国内の正規代理店経由のショップがおすすめ
  • すぐに欲しい。すぐ使いたい。
  • 届いた箱がボッコボコに潰れてたら怒り狂う。返品する。
  • 困ったときにや何かあった際は代理店に問い合わせたり、サポート・保証をうけたい。
  • 我、懐に余裕あり!

アリエクは程度割り切った考えを持てる人向けとなるが、とにかく安い。

頻繁に開催されているセール時のクーポンコード、店舗フォローで使えるクーポン、同社アプリ内に搭載されているゲームで貯めたコインも割引に使える。物によっては国内販売価格の半値くらいで購入することもできる。

実際に私が購入した金額はこんな感じだった。

Godox製品はメ●カリなどのフリマでも出ているが意外と高い値段のものが多い。その金額出すならアリエクで新品買えるな…というケースもよく見受けられる。新品未使用品も多く出回っているが、だいたいこんな感じで購入したものを転売しているのだろう‥と勝手に思っている。

ちなみに、Godoxのトリガーを中古で買うならフジヤカメラ用品館の店頭がおすすめだ。常に店頭にあるわけではないが、出ているときはかなり安い価格で売られているのを何度か目撃している。


実際の操作性・利便性から考える


メーカー仕様表で「対応」とかかれていても、機種によってはワンボタンでいけるものもあれば、数ステップの手順が必要なものもある。ここからは実際に現場で使用した操作感を含めてお伝えしていく。

HSS(ハイスピードシンクロ)の切替

XproII / Xpro:1ボタンでHSS切替。
X3 / X2T:要メニュー操作(Menu→Sync→HSSを選択)

元に戻す際も同様の操作が必要となる。このHSS切替ON/OFFを撮影中に頻繁に行う場合は、Xpro系でないと結構、、というかかなりしんどい無理!

※1 ストロボにトリガー機能がついているGodox V1Pro・V1は切替操作不要で、HSSのON/OFFは自動で行われる。
※2 X1Tは所持していない為、不明。

モデリングランプのON/OFF

モデリングランプのON/OFFも、操作がかなりかわってくる。
Xpro系はよくできており、ON/OFFは物理ボタン1つなので、慣れればトリガーを見ずに操作することもできる。個別のON/OFFや一括制御も容易。

X3はON/OFFする際、必ずタッチパネルからの操作が必要となる。全体ON/OFFもできないことはないし、個別ON/OFFもできないことはないが、ちょっとクセが強い気がする。(まだ私が使い慣れていないだけかもしれないが…)

X2は結構長めに長押しする必要がある。Aだけ光らせるといった個別ON/OFFはできない模様。

ファーストビュー(ティスプレイ)

普段から3グループ以内しか使わない場合は気にする必要はないが、多灯で複数のストロボを配置してA~Eをフルで使う方は、1画面で表示できる情報量の多いXpro系が圧倒的に使いやすかった。

『X3/X2T』は1画面内(ファーストビュー内)に3グループしか表示できず、4グループ目以降の設定を見たり変更する際は画面をスクロールさせたりボタン操作が必要となるので面倒に感じてしまう。

※X3は3グループといったが、直下に別の項目があり、3グループ表示すると、ふとした拍子に画面が動いてしまい表示が見切れてしまう。実際に安定して1画面固定で使うなら2グループまでだろうと思う。

光量の変更(マニュアル)

マニュアルで光量を調整しているひとは、いちばん大事なポイントかも知れない。

もともとXproをメインで使っていて、くるくる回すダイヤルはとても気に入っていた。2型がでてすぐに飛びついたが、ダイヤルの反応は1型と比べて悪く、同じ量を回しても目的の数値になかなかたどりつかない印象をもっている。

ダイヤルの回し心地が一番優秀なのはX2だと思う。

X3はタッチパネルになり、最もスピーディーに変更できるようになった。ただその反面、目的のところでなかなか止まってくれず、1/4 +0.7とかになってしまう。この+0.3とか0.7になってしまわない設定が追加されれば、私の中でX3は最高のトリガーになるといっても過言ではない。

脱着

付け外しも、大事な要素。ダイヤル式は、きちんとねじ込んだつもりでも、いつのまにか抜け気味になっていて発光しなくなったり、そのまま抜けて地面に落下してしまったこともあった。

「外れない機構」がついているクイックレバー式やボタンのものをおすすめしたい。


まとめ


基本的には利用用途に合わせてください!という話なのだが、ここまでをざっとまとめるとこんな感じだろうか。あとは懐事情と相談してご購入を!

▼1~3灯くらいで、通常1~3グループしか設定しない方向け

X3
  • タッチパネル操作が好き。
  • HSS切替はあまりしない。
  • パススルーのホットシュー不要
  • 電池が嫌い
  • 軽さが正義
X2T
  • パススルーのホットシューが必要。
  • タッチパネルが嫌。
  • HSS切替はあまりしない。
  • 電池タイプが安心。

▼多くのストロボを所持し、5グループを1画面でみたい人向け

XproII
  • HSSの切替が頻繁。
  • ボタンが大きいほうがすき。
  • 電池タイプがいい。
Xpro
  • HSSの切替が頻繁。
  • ダイヤル回転式の脱着が嫌いではない。
  • 電池タイプがいい。

…ちなみに私は使い分け派。
スタジオ等で3グループ以上使うときはXproII、
屋外などで2灯くらいしか使わないときはX3を使っている。

どれか1つ調子が悪くなってもすぐ交換できるようXproII、Xpro、X3は常にカバンに入れている。

…ちなみに実はX2Tは持ち出したことがない。


余談:Godox製品のファームウェア更新


Godoxのファームウェアダウンロードページは、ちょっとイマイチな作り。
https://www.godox.com/firmware-control-system/

例えば、X3と検索すると、このように表示されてしまい、いつ更新されたか、といった情報画面が消えてしまう。

「X3-N Firmware Initial Language Updating」
「X3-N Firmware」

2種類アップされている状態で、Initial Language Updatingの中身は1.07、ついていない方の後者は1.15で新しいものとなっていた。

※メーカーによっても細かく変えているのか数値が異なっているようで、Canonの最新版は1.26となっていた。

手持ちのファームウェアが更新されたかどうかの情報も、自分で探しに行かない限り、知る術がない…。

2024/11/14時点、X3-Nは1.15までバージョンがあがっていた。

ちなみにInitial Language…の1.07は履歴にも書かれてない。さらに購入時に元々入ってた1.06も情報が無かった。

正直良くわからないが、細かいバグ修正がされているので時々チェックするのがおすすめ。

更新ソフトのインストール

ファームウェアの更新にはMacもしくはWindowsに専用の更新ソフトをインストールする必要がある。
https://www.godox.com/firmware-launcher-installers/

使っている機材によってG1、G2、G3と分かれているようだが、以前G2で更新だったものも最新ではG3での更新に変わっていたりするので、最新ファームウェアに同梱されているPDFの説明書をよくチェックする必要がある。

2024/08/10現在、X3系はG3アプリでの更新。
MacOS/Windowsでわかれているのでお使いのPCのOSにあわせてダウンロードを。

更新の手順(X3-N v1.15の場合)

  1. GodoxG3_v1.1.exeを開いてSelectFileからX3_N_v1.15_APP.binを選択。
  2. X3をPCに接続して、X3本体の画面からSetting→DeviceInfoから「Update」ボタンをタップ。
  3. PCの画面上、接続が確認されたら、GodoxG3_v1.1からUpdateを押す。
  4. Update device successと表示されたらExitボタンを押して完了。X3のケーブルを外して、ファームウェア更新が完了したことを確認。